Home> Report> 日刊ゲンダイ掲載原稿/第1回 高級ホテルのステーキvs正露丸

日刊ゲンダイ掲載原稿

(連載期間)2008年8月23日〜11月29日

高級ホテルのステーキvs正露丸

エチオピアの首都アジスアベバでの記念撮影

エチオピアの首都アジスアベバにて。(当時21歳)

「アフリカで、なに食べてるの?」。
まだまだアフリカは遠いと思わせる質問だ。

実際のところ大都市には、中華を始めフレンチやイタリアン、さらには日本食まである。しかし火の通っていない物を食べるのは止めた方がよい。特に生肉を食べるのは愚の骨頂だ。

初アフリカのエチオピアで、奮発してある某高級ホテルのレストランに行った時のこと。当時一番の好物だったミディアムレアのステーキを注文した。

想像以上にジューシーな牛肉に舌鼓を打ちつつ300グラムを平らげ、食後のコーヒーを片手にタバコに火をつけた。

と、突然猛烈な腹痛に襲われ、慌ててホテルのトイレに飛び込む私。

一段落ついたと思い便器から腰を上げると、再び強烈な便意が襲ってくる。何度もズボンを上げては降ろすことを繰り返すこと30分。便意が油断した一瞬の隙をつき宿泊先に駆け戻って正露丸を口に放り込んだ。

しかし、日本では常に期待に応えてくれる正露丸も、アフリカでは分が悪かったようだ。

服用方法を無視し、「1回5粒、1日10回」飲み続けたものの3日経ってもトイレに行く回数が減らない。おそらく30分に一回位の割合で通っただろう。なんとか4日目から小康状態に入り、一週間ほどで治ったが、二日目に出血し始めたお尻のダメージは大きく、その後数日はイスに座れない状態になってしまった。

「途上国でナマの物は食べない」。これは絶対に怠ってはいけない常識だ。

第2回「走馬燈〜人間の神秘」へ続く