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日刊ゲンダイ掲載原稿

(連載期間)2008年8月23日〜11月29日

ボディーガードはセット販売

ソマリアの民兵

こんな方々が、町中にウジャウジャいるモガディシュ。

前回パスポートなしで入国できると紹介したソマリアは、最も取材費がかかった国でもあった。

私が取材に行った2002年。首都モガディシュには名ばかりの暫定政府があったものの、7つの武装集団がそれぞれの縄張りを巡って争い、日々銃撃戦が繰り広げられる無法地帯だった。

そのため、ホテルも高さ5メートルほどの壁で囲まれた要塞状態。
さらにチェックインすると、「ボディーガードを雇わないと、ホテルから一歩も出さないよ」と、いかつい受付の兄ちゃんに脅される。

「カラシニコフと手榴弾で武装した兵士10人と2人の通訳、そして対戦車砲を積んだピックアップトラックと乗り心地満点の4WD。これがセットで250米ドル(当時のレートで約3万3千円)。今なら兵士5人とピックアップトラック1台追加で100ドルとお得ですよ」と、自称セキュリティーオフィサーがマックの店員のような笑顔で「お勧めボディーガードセット」の説明をしてくれた。

ホテルは三食洗濯付きで一泊80ドル。1日あたり約4万3千円の出費は限りなく痛い出費だったが、空港からホテルまでの道中、すでに何度も乾いた銃声を聞いていたので背に腹は替えられない。

財布の中と相談した結果、200ドルまで値切り(兵士4人、通訳1人、車1台になってしまったが…)、セットを購入した。「お金」=「安全」、それを認識させられた経験だった。

第5回「マラリアの洗礼」へ続く